出会い系サイトで知り合った援助交際希望の飯島さんとは、何度か交渉を持っていた。
相性もあるのだろうか、僕たちは体もぴったりと合った。
飯島さんは、26歳。殊更にお金に困っているわけではないらしい。
「でも、お金が欲しいね、やっぱり。いくらあっても困ることはないし」
最初は名前で呼んでいたのだが、勤務先での彼女の役職を聞いて、途端に苗字で呼ぶようになった。ちゃん付けして気楽に呼べるような立場ではない。ホテルから出れば、彼女の方が数段、社会的地位は上。
しかし、ベッドの中では、僕たちは同格だ。
整えられた髪を荒々しくかき上げると、飯島さんは雄たけびのような喘ぎ声を上げる。
お金が無くなった時を考えると怖い。だから、何かあってもお金がなくならないように稼げるように稼いでおくつもりらしい。
当座のお金がほしい女の子が、最終手段として援助を求める中、飯島さんは先を見据えてお金を稼いでいるようだ。
しっとりとした肌に舌を這わすと、それだけで彼女の股間は蜜で蕩けかえった。
妙な話だが、僕が飯島さんにお金で買われているような気になることはある。それくらい、彼女とのセックスに渇きはなかった。
愛人
僕が飯島さんの中に入っていくと、彼女は腰をくねらせながら悦んだ。
これだけの器量と、役職を務める行動力、会話の節々から感じられる知性を併せると、お金が欲しいならば、援助交際なぞしなくても、何でも副業はありそうには思うのだが。
やがて、飯島さんの中で僕は果てた。力の抜けた僕が彼女に覆いかぶさっていると、陶酔から覚めた彼女は優しい顔で僕の頭を抱きながら、唇を合わせてきた。
「お金が欲しいのは事実だけど、本当に欲しいのは・・・」
湿った唇のまま、飯島さんは何かを言いかけた。
以降、飯島さんと会うことはなかった。それは、その夜、彼女が本当に欲しいものを知ったからである。
それを聞いたとき、僕はもう、彼女と会うことはできなかった。なぜならば、僕に応える自信がなかったからだ。
お金で結ばれる割り切った援助交際、そこにお金以外の感情を持ち込むと、何かが破綻する。
今も飯島さんは、愛を求めて出会い系サイトを彷徨っているのだろうか。
愛人契約の意味
愛人契約とは